工房の建設

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幅1mの「村道」から分岐させて、やはり1m幅で50mのアプローチの私道を作ったのが1999年の暮れ。20年経ちました。 10cmの厚みの平均110cm幅で50mのコンクリート。
約6立方メートル、6リュウベイという量の生コンをミキサー車で運んで来たのを、ビニールの肥料袋に詰めて、現場まで400mひたすら運ぶ。今は亡き村の長老にも手伝ってもらって二日かかった。当時1立方メートル¥14800。夏場は乾燥が早いので気が気でないけれど、真冬なので程々に。
猪の柵に使った鉄筋メッシュを敷き詰めたり、橋のところは鉄筋を入れたりと、都合30数万かかって完成。
歩くだけなら土の道でもいいのですが、パーワーカー(動力運搬車)と呼ばれる「助っ人」がつつがなく能力を発揮して貰える道路が必要なのですね。石ころ一つに乗り上げてバランスを崩して横転・転落なんてことはザラ。  わたくしも生コンひとつ30kg弱を10個積んでこの写真のちょっと先のところで谷に落としてしまったことがあります。 住民は皆経験者。特に重心高く積載した時が危ない。
この働き者がなかったら工房建設なんて出来なかったでしょう。 昔々はロバで運んだと言います。 ですからチェーンソーを使ったり電気工具やパーワーカーの助けを借りた私の道楽なんて大したことないのです。
赤いのはヤフオクで競り落とした溶接機、三代目。43kg。
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これは10数年前の初代溶接機。120kg、とても一人では手に負えず手助けしてもらって現場に。形も大きいし、アップライトピアノは250kgくらいなので、とても無理でしょう。
ちなみに知らない人にとってはなんのこっちゃという感じでしょうが、ヤフオクのこの部門には、ユンボもブルトーザーもあったりして、日本製の高性能なのは中国奥地とかで大活躍しているそう。
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これは小型のミキサー、90kg。 電動チェーンで崖を少しずつ摺り下ろして現場に。
最初は右下に見える「舟」と言われる器に、セメント・砂・砂利を入れて人力でコンクリート としていたが、余りの大量に根を上げて、ミキサーを求めた。どれだけ活躍してくれたかわからない「戦友」。次の出番はいつだろう?
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素人なりの地道な作業 。型枠を作って「土留壁」兼「土台」作り。
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土台は湿度が高いので、なるべく高くしたいのだが、そうなると必要なコンクリートの量が半端なくなるので程々に。 生コンを運ぶのではないので焦らなくていいのだが、それでも材料のセメント、砂利、砂、ブロック等をひたすら運ぶ。多分数百往復しているだろう。
明るいうちでないと危ないので、その点は一刻も惜しいから休憩なんてなし。
木材は切り倒した杉・檜が売るほどあるので使い放題なのだが、ログハウスと言えど、角材にする為自分で製材が必要なのはいっぱいあって、これがなかなか曲者の「チェーンソーの縦引き」。1回10数分の振動を受け止める必要がある。 50ccのチェーンソーなので、小型バイクを木に押し当てて格闘している感じ。 麓の製材所に持ち込んでやってもらえばなんて言う人もいたが、一本最低 数十キロの丸太を400m運んで、製材費を払ってとか・・。時間と労力からしてありえない。 湿気による腐食および蟻対策にコールタールを塗ったが、カミキリ虫にもクマンバチにも効果はなく、平気で棲家をボコボコ(大家に断りもなく)作りまくられた。


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溶接による外階段。  最初は楽なので杉に防腐処理して外の物も作っていたが、まず数年で補修が必要になってしまう。 業を煮やして「鉄」に踏み込んだわけ。しかし溶接は難しすぎて、やってもやってもきれいに行かない。当たり前だ、プロの人たちの修練時間を考えれば数十時間でうまくいくわけもない。 誤解を恐れずに言ってしまえば、昨今話題の、半年の専門学校を出て鮨屋ができるかと言うのがあるけれど、 100%の信頼をおけてお金を貰える「溶接」は半年や三年では無理なのではないかと。
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この建物で小生は3軒目なのであるが、最初はアメリカ型の2x4工法で簡易的にやっていたが、「ほぞ穴」を開ける機械を借りれたこともあって、日本式の軸組工法に切り替えた。
大変面白いし、2x4の接続金具が結構高いので、うまくやれば釘など金物なしでもできるので、何もかも良いことばかり。  でも日本式は最初に屋根まで作ってしまわねば、雨が多い風土ゆえ不味い点が唯一の難点。
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本体の壁は30センチほどの直径の杉から切り出した「材」をひたすら積み上げていったもの。
一人での作業なので、下の方はいいのだが上まで持ち上げられる範囲のパーツにしなくてはいけない。そして「ログ」は最終的に乾燥していって、完成後何年か経過すると約一割は収縮するので、積み上げた壁が一割低くなってしまう。それだけならまだしも、多材との接合部に隙間を生じてしまう。 その大問題をクリアするのがログハウス作りの一番の肝なのですな。
冬場は室内でも零下になるのでペアガラス、機密性、断熱材等の配慮も欠かせない。
しかし予算と、何より人力で運び込まなくてはいけない事で、工法や材料の選択に制限があるのです。